当院の妊娠中絶手術について
当院では、妊娠9週6日までの初期人工妊娠中絶に対応しています。手術は母体保護法指定医師の院長が行いますので、ご安心ください。
なお、感染症や合併症などが起こっている場合、手術を行えないこともありますので、ご了承ください。
手術は手動真空吸引法(MVA)によって行っており、これは非常に安全な術式で、子宮への負担も一番少ないです。
超音波で確認しながら手術を進めることで、リスクを抑え、安全面を担保しています。
吸引法であるため、子宮口を予め開く前処置も不要です。手術そのものは5~10分で終わりますが、術後は3~4時間安静にしてからご帰宅いただきます。
なお、術後の運転はお控えください。ご家族に送迎を依頼するか、公共交通機関を使用してお越しください。
妊娠週数の計算について
最後の生理開始日を1日目と考え、その日から40週間を妊娠期間とします。
したがって、40週間後が出産予定日であり、例えば妊娠4週~7週は妊娠2ヶ月、妊娠8週~11週は妊娠3ヶ月となります。
生理周期が安定していない方は、エコー検査で診断します。
当院では妊娠9週6日までの初期人工妊娠中絶を行っています。
母体保護法と中絶手術
日本では、「母体保護法」という法律に則って中絶手術を実施しています。
この法律では、女性の生命や健康を守るために、不妊手術や中絶手術についてのルールが決められています。
また、中絶手術を実施可能な医師は、基本的に母体保護法指定医という「医療機関の設備や医師の技術・人格などが特定の基準を満たしていると各都道府県の医師会が認定した者」のみです。
また、中絶手術を実施しているのは母体保護法指定医が所属する産婦人科のみです。
当院では、中絶手術に対応し、女性の心身両面になるべく負担をかけないように、適切な診察・手術を実施します。
お困りの方は、一度当院までご相談ください。
人工妊娠中絶について
人工妊娠中絶は、母体保護法という法律で定められた基準に該当する場合に限り行うことができます。
具体的には以下のような場合が該当します。
- 脅迫や暴行などによって性行為を拒絶・抵抗することが困難だった場合
- 母体の健康を考慮し、妊娠の継続や出産が難しい場合、もしくは経済的な事情で中絶が必要と考えられる場合
また、人工妊娠中絶とは、基本的に母体の外で胎児の生命の維持が難しい場合に、人工的に胎児とその付随物(臍帯・胎盤・羊水・卵膜)を母体の外に摘出することです。
(参考:日本産婦人科医会 指定医師必携)
体に負担の少ない日帰り手術
当院では、低侵襲の日帰り中絶手術を実施しています。手術では静脈麻酔を使うため、不安やストレスを抑えながら、ウトウト眠ったような状態で手術可能です。
また、手術中は心電図・血圧・呼吸状態を適宜チェックし、安全を最優先に手術を行いますので、ご安心ください。
初期中絶の方法について
初期中絶の方法として、吸引法、手動真空吸引法、搔爬法(そうは法)が挙げられます。
当院では、子宮への負担を最小限に抑えられ、安全な手動真空吸引法(MVA)を実施しています。
手動真空吸引法(MVA)とは
WHOが定めた「安全な中絶」についてのガイドラインでも勧められている方法です。
ポリプロピレンでできた柔らかくて細い管を子宮内部に挿入し、手動吸引器によって内容物を取り出します。
電動ポンプを使わず手動で吸引することで、緻密な制御が可能となり、母体にダメージを与えない安全性が高い手術を行えます。
手術器具は、吸引器はもちろんのこと、消毒殺菌したディスポーサル(使い捨て)製品を使っておりますので、衛生面も心配いりません。
また、使った後の器具は再利用しませんので、感染のリスクもありません。
手動真空吸引法のメリット
柔らかい素材でできた管を使うため、子宮内膜を損傷する心配が少なく、術後の負担が少なくなります。
また、ディスポーサル(使い捨て)製品を使っておりますので、感染の心配もありません。
手動真空吸引法のデメリット
妊娠期間が長期に及んでいると、内容物が体内に残る恐れがあるため、妊娠週数によっては対応できないことがあります。
また、ディスポーサル(使い捨て)製品を使用しているため、衛生的で安全性が高いですが、その分高額な器具を使うこととなるため、患者様の費用負担も大きくなります。
電動吸引法とは
安全性が高くWHOからも推奨されている方法です。
手術時間が短く、術中・術後の出血が起こりづらく、母体に負担がかかりづらいと言われています。
筒状の器具を子宮に挿入し、電動で胎盤や胎児を取り出します。
電動吸引法のメリット
手術に時間がかからず、出血量も少ないため、母体に負担がかかりづらいとされています。
また、電動によって吸引するため、医師の力量が手術の結果に影響することがなく、安全面が担保されています。
電動吸引法のデメリット
日本には経験豊富な医師がほとんどいないのが現状です。
また、最適な術後ケアを行っている医療機関があまりないというデメリットもあります。
掻爬法(そうは法)とは
日本の大学病院ではまず初めに掻爬法を学習するため、経験のある医師が多数おり、初期中絶手術の80%程度は掻爬法で実施されます。
術前に子宮口を開け、スプーンのような器具・鉗子を使って胎盤や胎児を取り出します。
なお、吸引法よりも出血が起こりやすく、手術の所要時間も長いです。
掻爬法のメリット
子宮内部の状態を手の感触で把握しやすく、熟練の医師であれば母体の状態を確認しやすいです。
また、複数の医療機関で行われている方法であるため、患者様としても相談できるクリニックが多数あるというメリットがあります。
掻爬法のデメリット
出血や炎症が起こりやすく、手術の所要時間も長い傾向にあります。
また、重大な事故に繋がる危険性が高いとされています。
さらに、医師の技量が足りなかったり、予想しないミスが起こったりすると、子宮裂孔などに繋がり、母体にダメージを与える恐れがあります。
手術のタイミング
妊娠週数6~7週が、中絶手術の最適なタイミングとされています。
中絶手術のタイミングを決める上で最も大切なことは、胎児が入っている「胎嚢」という袋が見られるかどうかです。
経膣超音波診断装置を使って胎嚢があるかどうかをチェックしますが、妊娠週数4~5週では妊娠成分の成長が不十分なため、胎嚢を見つけることは困難です。
また、尿検査で妊娠反応陽性となっても、胎嚢が見つからない時期は、子宮外妊娠と誤認する恐れがあるため、胎嚢が見つかるまでは手術を行いません。
子宮の外で着床する子宮外妊娠は、開腹手術を要する極めて深刻な状態ですので、早期診断が重要です。
最初の超音波検査で子宮内部に胎嚢が見つからない場合は、子宮外妊娠との誤認を防ぐため、手術予定時期を1週間後ろにずらす場合があります。
また、当院では妊娠週数が9週6日までの初期中絶手術を行っています。
中絶手術を行える時期
母体保護法によって、中絶手術を行える時期は妊娠22週未満と定められているため、妊娠21週6日を過ぎると実施できません。
妊娠22週目までの人工中絶手術は、初期(妊娠11週6日まで)と中期(妊娠11週6日より後)に大別されます。
なお、妊娠22週を過ぎても母体の命にかかわる恐れがあれば、医療行為によって中絶する場合がありますが、この場合は自然死産に該当します。
妊娠週数が進むにつれて子宮内膜から筋層に栄養血管が増えるため、術後の出血が起こりやすくなります。
したがって、術後合併症に繋がる恐れがあるため、初期に中絶手術を受けることを推奨します。
当院では中期中絶手術を実施していないため、なるべく早めにご相談ください。
初期中絶と中期中絶の違い
中期中絶について
中期中絶とは、妊娠12週1日目~妊娠21週6日目までに行われる人工妊娠中絶です。
人工的に陣痛を誘発し、胎児を死産という形で娩出(お産)させます。
中期中絶では、法的な手続きも不可欠なため、初期中絶とは違う書類が必要となります。
初期中絶と中期中絶の違い
初期中絶 | 中期中絶 | |
---|---|---|
期間 | 妊娠11週6日目まで | 妊娠12週0日~21週6日目まで |
方法 | 搔爬法・吸引法 | 人工的に陣痛を促して死産させる |
入院の有無 | 日帰り手術で、入院は不要である | 入院が必要(3~7日ほど) |
手術可能な医療機関 | 母体保護法指定医が在籍している医療機関 | 母体保護法指定医が在籍し、入院設備が整っている医療機関 |
費用 | 10~15万円(週数により変動する) | 約〇〇万円(施設により変動する) |
痛み | 麻酔をするため痛みは生じない | 通常の出産と同じく痛みが生じる |
所要時間 | 5~10分 | 術前処置を行うため1日以上必要 |
母体保護法による分類 | 人工妊娠中絶 | 人工死産 |
届出 | 死産届は必要ない | 死産届を提出する必要がある |
埋葬 | 必要ない | 埋葬許可証を取得し、埋葬しなければならない |
人工妊娠中絶同意書
手術を受ける患者様が結婚している場合
法律上の夫以外の男性との性行為によって妊娠したものであっても、現在の法律では、戸籍上の夫の同意(署名捺印)を得なければなりません。
戸籍上の夫とは別の男性の署名捺印は不要です。
もし戸籍上の夫と連絡を取ることができない、もしくは夫が逮捕されて刑務所や拘置所にいるため連絡できない、夫のDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で離れた場所におり連絡を取れないなど、仕方がない理由で連絡が難しい場合はご相談ください。
手術を受ける患者様が未成年の場合
手術を受ける患者様が未成年であれば、同意書に患者様本人の署名捺印に加えて、保護者様の署名捺印も必要です。
「胎児の父親」が未成年の場合
「胎児の父親」が未成年であれば、同意書に「胎児の父親」の署名捺印に加えて、「胎児の父親」の保護者様(母親・父親どちらか一方でも可)の署名捺印も必要となります。
プライバシーについて
カルテを作るため、初診の際に保険証をご提示いただきますが、手術は保険適用とならないため、診療内容が第三者に知られることはございません。
当院ではプライバシーに最大限配慮し、漏洩しないよう努めておりますので、安心して手術に臨んでいただければと思います。
中絶手術の費用
初診時に、術前検査費を頂戴しています。
術前検査費 | 22,000円(税込) |
---|---|
手術費(術後内服薬含む) | 110,000円(税込) |
※なお、双胎の場合には上記金額に加えて別途料金が発生いたします。
詳細はお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
中絶手術の所要時間について教えてください。
手術そのものは約10~15分で終了しますが、事前処置を要する場合は2時間前にお越しください。
また、術後はリカバリールームで1~3時間安静にしていただき、異常が起こらなければご帰宅いただけます。
中絶の手術で痛みは生じますか?
患者様の体質や状態、既往歴などによって必要な麻酔をしており、安全面に配慮しながら、痛みなどの不快症状が生じないよう努めております。
そのため、手術中に痛みはなく、術後も軽度の生理痛のような痛みが生じる程度が多いです。
中絶手術を受けると将来妊娠が難しくなるというのは本当ですか?
中絶手術を受けると妊娠が難しくなったり、出産に異常が起こったりする原因として、癒着、術後の感染、複数回の中絶によって子宮内膜が薄くなることなどが挙げられます。
特に、経験が浅い医師が掻爬法(そうは法)で手術を行うと危険性が増します。
当院では、吸引法によって細心の注意を払い中絶手術を実施します。
また、手術の度に器具の消毒・洗浄を適切に実施することで、感染予防に努めております。
中絶手術を受けることを親には秘密にできますか?
未成年の方が中絶手術を受けたい場合は、手術で不測の事態が起きた時のために、保護者の方の署名を頂く必要があります。
署名なしで中絶手術を進めることはできませんので、保護者の方に同伴してもらって受診していただくことを推奨します。
中絶によって母体の心身に大きな負担がかかるため、術前・術後に保護者の方のご支援は欠かせません。
また、中絶できるタイミングには限りがあります。
保護者の方になかなかお話できずに困っているという方は、まずはご自身だけでお越しいただいても問題ありません。できるだけ早くご相談いただければと思います。
中絶手術では付き添いや立ち合いをしてもらうべきですか?
未成年の方は、手術中に保護者の方にすぐ連絡が付く状態にしていただければ、付き添いなしでも手術を行えます。
大人の方は、パートナーの方の付き添いや立ち合いは特段不要です。
なお、いずれの場合もご帰宅の際にふらついてしまうなどの恐れがあるため、できればご家族の方に送迎を頼んだ方が宜しいかと思います。